皆さま、こんにちは!
ダンススクール起業ラボのTutuです。
近年、「バレエ教室」でネット検索するとよく見かけるのが「発表会をめぐるトラブル」です。
発表会はバレエを習う子供たちの一番の楽しみであり、大きな目標でもあります。
一方で保護者にとっては、費用面や時間的負担からあまり歓迎できないと考える人もいるようです。
発表会にまつわるトラブルには、いくつかの種類があり、大きく分けると次の4つに分けられます。
- 発表会への参加・不参加を巡るトラブル
- 発表会で保護者同士の揉め事を巡るトラブル
- 発表会で保護者の仕事が多すぎて負担になるというトラブル
- 発表会で先生とその方針に口出しする保護者とのトラブル
今回は、この中から、『発表会への参加・不参加を巡るトラブル』に絞って、なぜそのようなトラブルが起きるのか?またその解決策について考えていきます。
この記事でわかること
✅発表会への参加・不参加トラブルはなぜ起きるのか?
✅教室のタイプ別発表会の提案
✅教室のタイプ別トラブル回避策
では、早速行ってみましょう。
発表会への参加・不参加をめぐるトラブル
ネット検索されている「発表会にまつわるトラブル」で一番多いのが、この『発表会への参加・不参加をめぐるトラブル』でした。
まずは、どのようなトラブルかを見ていきましょう。
保護者サイドの意見(不満や疑問)
- とにかく発表会の費用が高い。子供の習い事のレベルを超えているように感じる。
- 発表会への参加を表明していないのに、勝手に参加するものとされていた。
- 発表会に参加しないのに、費用の一部を負担するように言われた。
- 入会時には、発表会は任意となっていたのに、後で全員参加と言われた。
- 発表会に参加しないと、レッスンさせてもらえない。
など。
総合的に一番多かったのが、
「子どもがバレエを踊ることが大好きなので、毎月のお月謝だけならなんとかやり繰りできるけれど、1回10万円ほどかかる発表会に毎年出演するのは、家計的に難しい。続けるか辞めさせるかで悩んでいる。」
という意見でした。
では、そもそもなぜバレエの発表会に、このような高額な費用が掛かるのかを考えていきましょう。
発表会の費用の内訳
会場費:
大規模なホールや劇場を前日のリハーサルと本番当日の2日間借りることが多くそのため、費用が高額になります。
舞台制作費
舞台セット、照明、音響など、舞台を作るための多くの費用がかかります。
衣装代
レンタル衣装でも1着7,000~15,000円程度。オリジナルで作ると3万円以上します。
人件費
ゲストのダンサー、舞台監督、照明・音響スタッフなど、多くのプロフェッショナルが関わるため、人件費も大きな割合を占めます。
印刷物費
プログラムやチケットなど、印刷物にかかる費用もあります。
保護者が不公平に感じる部分
通常の発表会がなぜあそこまで高額になるかというと、【幕もの】と言われる大がかりなセットが必要となる演目をするからです。
例えば、「白鳥の湖・全幕」とか「眠れる森の美女・2幕3幕」などを発表会でやると、ものすごい量の大道具・小道具・スクリーンが必要です。
さらに、男性ゲストを必要な役柄だけ雇うことになり、これにもかなりの費用がかかります。
主役やソリストの生徒さんにとっては、高額な費用が掛かることも納得できるかもしれません。
しかし、毎回コールドを演じる生徒の保護者や、幼児の保護者にとっては不公平感が生じ、発表会へは参加させたくないという気持ちに繋がるようです。
先生と保護者の意見が食い違う理由
そもそもバレエの先生になる人は、ステージで踊ることの楽しさを満喫してきた人です。
ですので、
「バレエ習っているのに発表会出ないの?それなら、何のために習っているの?」と思ってしまう人が大半でしょう。
むしろ、「発表会をやらないと、生徒さんが離れてしまうのではないか?」と心配する先生もいるかもしれません。
しかし、保護者側は
「発表会に出るか、出ないかは、その都度決めたい。だって、入会の時に絶対参加って言われなかったし。正直こんなに高いと思わなかった。」
と感じる人がいるため、トラブルに発展するようです。
『発表会への参加・不参加をめぐるトラブル』を防ぐためには
発表会直前になってトラブルがあると、先生も保護者も精神的に参ってしまいます。
また、何より小さな子どもを傷つけることにもなりかねないので、入会時に教室のポリシーと発表会についての説明をしっかり行うことでトラブルを回避していきましょう。
教室のポリシー別【発表会の在り方】
まずは、あなたの教室のポリシーがどのようなものかを明確にしましょう。
教室のポリシーが明確だと、先生の意見に賛同してくれた保護者と生徒さんが入会することになるので、トラブルを回避することができます。
発表会のスタイルもそのポリシーに沿ったものであると、保護者も容易に理解することができるはずです。
教室ポリシーのタイプ
1.プロ育成クラスがあるような本格的なバレエ教室
2.プロになるような人はいないけれど、コンクールなどへは参加している教室
3.コンクールなどへの参加はないけれど、習い事として長く続ける人が多い教室
4.人とのつながりを求めるサークル的な教室
これらの4つは、それぞれどれが正しいというものではありません。
それぞれの教室にはそれぞれのニーズがあり、その教室が好きで通う生徒さんがいらっしゃいます。
ご自分の目指す教室が、どのようなものかを考えて、それにあった発表会のスタイルを決めていきましょう。
教室のタイプに合った発表会の提案
1.プロ育成クラスがあるような本格的なバレエ教室
こちらは、「将来プロになるような生徒を育てたい」という意思を持った先生が主宰されている教室なので、発表会も本格的で、全員が参加するものを目指しましょう。
プロになれば、全幕の舞台に色々な役柄で出演するわけですから、子どものころからその仕組みを勉強できるのは、生徒さんにとっても大きなメリットです。
保護者からも「プロを目指す目的」があれば、費用もそれなりに準備しなければならないと理解してもらえると思います。
入会時にも、そのことをしっかり伝えて、むしろ「小さいうちから本格的なステージを経験できる。」ことを利点としてアピールしておきましょう。
トラブル回避策
クラス編成にも「コンクールに向けたクラス」や「プロ育成クラス」などを設けて、初めて来られた保護者にも「本格的であること」「プロを目指す生徒を育てていること」をお伝えしておきましょう。
また、発表会の必要性や、本格的なステージに立つ利点を十分に説明し、発表会への全員参加の方針や費用面での理解を最初から得られるとトラブルに発展することは避けられます。
大切なのは、本格的なことを望まない人には、無理に入会を勧めないようにすることです。
2.プロになるような人はいないけれど、コンクールなどへは参加している教室
国内に最も多いのがこのタイプの教室だと思います。
トラブルに発展するケースで多そうなのが、発表会についての説明がないまま(保護者からの質問がないまま)入会し、発表会をする直前に
「聞いていなかった。」「思っていたより費用が掛かる。」などで揉めてしまうというケースです。
まずは、先生自身が「発表会が任意参加か全員参加か」をはじめにしっかり決めておく必要があります。
そして任意参加なら「発表会に参加しない生徒であっても、レッスンは続けてほしい。このまま退会しないでほしい。」と思うかどうかです。
例え、発表会に参加しなくても、やめてほしくないなら、不参加の生徒さんに向けて何等か「居場所」を作ってあげる必要があり、レッスン続けられる方法を考えなければなりません。
(例えば、日曜日に発表会とは関係なく、誰でも参加できる通常クラスを用意するなど)
トラブル回避策
先生自身の発表会への考え方がブレないようにしておきましょう。
入会時には、その説明を保護者にしっかり説明し、発表会前にも事前説明会を開催するなどして、保護者の理解を得られる場を提供していきましょう。
入会時に「発表会は任意参加です。」と答えた場合は、それを貫き、不参加の生徒さんに対しても「居場所の提供」をしていきましょう。
そうすることで、結果的に生徒さんがあなたの教室を継続し、長く利用してくれることに繋がります。
3.コンクールなどへの参加はないけれど、習い事として長く続ける人が多い教室
こちらのケースは、私の知り合いの先生のアイデアをご紹介します。
その先生のお教室の発表会は「コンサート形式のバリエーション中心のもので、【幕もの】なし」でされていて、保護者からの評判もよいようです。
発表会の費用を抑える工夫としては、
- 前日の舞台リハーサルなし
- 男性ゲストは呼ばない
- 場内アナウンスはご友人にお願いする
- メイクは生徒たちが自分でやる
というようなことが挙げられます。
本格的な発表会ではないものの、「ホールを借りて大きなステージでお客さんを前に踊りを披露する」ということは叶えられます。
但し、「長く続けている生徒さんたちに、なかなか男性と組む機会を提供できないので、今後の課題はそのあたり。」ともおっしゃっていました。
このケースを真似る時のトラブル回避策
本格的でゴージャスな発表会を観た経験がある保護者から、多少物足りなく感じられる場合があるので、「誰のために、どういう理由で」このスタイルの発表会にしているかを説明する必要があります。
また、この場合も先生自身が「発表会が任意参加か全員参加か」をはじめにしっかり決めておく必要があり、それを曖昧にしないことが大切です。
4.人とのつながりを求めるサークル的な教室
このタイプの教室は、手作り感のあるアットホームな発表会を考えれば良いでしょう。
スタジオ内でのおさらい会でもいいですし、もう少したくさんのゲストをお招きしたい場合なら、地域の公民館などを利用しても良いと思います。
保護者からの意見やアイデアをたくさん盛り込んだものなら、より参加者の満足度もアップすると思います。
トラブル回避策
今までのパターンと逆に、入会時に「定期的な発表会はやっていません。」ということを伝えておきましょう。
また、発表会開催の目処が立った時は、事前に保護者会を開催するようにしましょう。
まとめ
発表会をめぐるトラブルは、たくさんありますが、今回は「参加・不参加を巡るトラブル」だけにフォーカスし、考えてみました。
バレエ教室のスタイルやポリシーは、ひとつではありません。
色々なスタイルの教室があって、それぞれに合った生徒さんが集うことが、バレエの裾野を広げることに繋がります。
決して他の教室と比較したりせず、ご自分のスタイルにあったやり方を見つけていきましょう。
但し、入会時に曖昧な言い方で、保護者に誤解を与えないようにすることは大切です。
最初から自分の考えにあった生徒さんだけを集めておけば、トラブルはグッと減るので、自信を持って教室のポリシーを伝えていきましょう。
発表会に関する別のトラブル回避法については、後日記事にしていきます。